介護タクシーの料金設定ガイド【地域別相場・計算例つき】

利用者に選ばれて、しっかり利益が出る料金の決め方

(更新: 2026年3月5日)11分で読めます
介護タクシーの料金設定ガイド【地域別相場・計算例つき】

介護タクシーの3つの料金体系を理解する

介護タクシーの料金は運輸局に届け出た認可運賃に基づきます。3つの料金体系の特徴を理解し、自分の事業に最適なものを選びましょう。

料金体系仕組みメリット向いているケース
距離制運賃初乗り+走行距離に応じた加算利用者にわかりやすい。短距離利用が多い場合に有利通院メインの事業者(最も一般的)
時間制運賃30分ごとの料金設定待機時間も収益化できる病院の待ち時間が長い利用者が多い場合
定額制運賃特定区間の固定料金事前に料金を伝えやすい空港送迎・施設間送迎が多い場合

組み合わせもOK

実際には「通常は距離制運賃+待機料金が発生する場合は時間制に切替」「よく使う区間だけ定額料金を設定」といった組み合わせが一般的です。運賃認可申請時に複数の料金体系を併記することも可能です。

地域別の料金相場 ─ あなたのエリアはいくら?

料金設定の第一歩は地域の相場を知ること。以下に主要エリアの実勢価格をまとめました。

地域初乗り運賃加算運賃5km利用時の目安
東京23区600〜800円(2kmまで)280mごとに90〜100円約1,700〜2,300円
東京多摩地区550〜700円(2kmまで)280mごとに80〜100円約1,500〜2,100円
大阪市内500〜700円(1.5kmまで)270mごとに80〜90円約1,500〜2,000円
名古屋市内500〜650円(1.5kmまで)280mごとに80〜90円約1,400〜1,900円
地方中核市500〜600円(1.5kmまで)300mごとに80円約1,400〜1,700円
郡部・過疎地域500〜600円(2kmまで)350mごとに80円約1,200〜1,500円
介助の種類料金相場サービス内容
基本介助500〜1,000円手引き・見守りでの乗降サポート
車椅子介助1,000〜1,500円車椅子のままリフト/スロープで乗降+固定
ストレッチャー介助2,000〜3,500円寝台のまま搬送。2名体制が必要な場合も
階段介助1,000〜2,000円/1階分エレベーターなしの建物での昇降
院内付添い1,000〜1,500円/30分受付・診察室への移動・会計の補助
待機料金500〜1,000円/30分病院の診察待ち・買い物の待機

相場より安くしすぎない

「安くしてお客さんを増やそう」は介護タクシーではNGです。利用者は価格より「信頼性」「介助の丁寧さ」「予約の取りやすさ」で選びます。相場より大幅に安い料金は、逆に不信感を与えることもあります。地域相場の±10%以内で設定し、サービスの質で差別化しましょう。

損益分岐点を計算してみよう

「1日何件運行すれば黒字になるか」を具体的に計算してみましょう。

項目月額計算根拠
車両ローン返済4万円180万円の中古車を48回払い
自動車保険1.8万円年間22万円÷12
駐車場代1.5万円月極駐車場
ガソリン代5万円月間2,000km × 燃費8km/L × 200円/L
タクシーメーターリース0.7万円月額リース
通信費0.8万円業務用スマホ
その他(消耗品・雑費)1.2万円
固定費合計15万円/月

損益分岐点の計算

月間固定費15万円 ÷ 1件あたりの平均売上4,000円 = 約38件/月(月22営業日の場合 約1.7件/日)。つまり1日2件以上の運行で黒字ラインに乗ります。実際には生活費(月20〜30万円)も稼ぐ必要があるので、1日3〜5件の運行が目標ラインです。月売上30〜50万円で経費控除後の所得300〜500万円/年が個人事業主の一般的な水準です。

利用者に選ばれる料金設計 5つのコツ

  1. 主要区間の概算料金表を作る ― 「ご自宅→A病院:約2,500円」のように具体的な金額を提示。電話予約時に即答できる準備を
  2. 料金の内訳を明確にする ― 「メーター運賃○○円+車椅子介助1,000円+待機30分500円=合計○○円」と領収書に明記。不透明な請求は不信感のもと
  3. 定期利用の割引プランを設定する ― 週3回の透析通院など定期利用者には月額パック(例:月12回 36,000円)を提案。利用者の負担軽減+安定収益の確保
  4. 初回利用のハードルを下げる ― 「初回お試し運賃500円OFF」など、最初の利用を促すキャンペーンが有効。ケアマネージャーへの営業時にもアピールポイントに
  5. 請求書・領収書を整備する ― 家族への報告や施設の経費精算に使えるよう、明細付きの領収書を毎回発行。信頼度が格段に上がる

ケアマネージャーが求める情報

利用者を紹介してくれるケアマネージャーは「料金がわかりやすいか」「領収書をきちんと出すか」「柔軟に対応してくれるか」を重視します。料金表をA4一枚にまとめたチラシを作り、営業回りで配布しましょう。FAXで受注できる体制も喜ばれます。

運賃認可申請のポイント

運賃は許可取得後に運輸局へ認可申請が必要です。申請のポイントを押さえておきましょう。

  • 運賃表(距離制/時間制/定額の料金テーブル)を作成して提出
  • 介助料金・待機料金は「運送の対価」と別に設定可能
  • 地域の相場から大幅に乖離した料金は認可されない可能性あり
  • 認可後の料金変更は再申請が必要(1〜2ヶ月かかる)
  • 運賃表は車内の見やすい場所に掲示が義務

認可前の営業はNG

事業許可が下りても、運賃認可が完了するまでは営業できません。許可申請と同時進行で運賃認可申請の準備を進めておくと、営業開始までの空白期間を最小化できます。

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