経費・申告

介護タクシー 料金相場と設定ガイド|地域別・1日売上の計算例つき

距離制・時間制・定額制の選び方と、月38件で黒字を出す価格設計【2026年版】

(更新: 2026年4月30日)
介護タクシー 料金相場と設定ガイド|地域別・1日売上の計算例つき

介護タクシーの3つの料金体系を理解する

介護タクシーの料金は運輸局に届け出た認可運賃に基づきます。3つの料金体系の特徴を理解し、自分の事業に最適なものを選びましょう。

距離制運賃

仕組み
初乗り+走行距離に応じた加算
メリット
利用者にわかりやすい。短距離利用が多い場合に有利
向いているケース
通院メインの事業者(最も一般的)

時間制運賃

仕組み
30分ごとの料金設定
メリット
待機時間も収益化できる
向いているケース
病院の待ち時間が長い利用者が多い場合

定額制運賃

仕組み
特定区間の固定料金
メリット
事前に料金を伝えやすい
向いているケース
空港送迎・施設間送迎が多い場合

組み合わせもOK

実際には「通常は距離制運賃+待機料金が発生する場合は時間制に切替」「よく使う区間だけ定額料金を設定」といった組み合わせが一般的です。運賃認可申請時に複数の料金体系を併記することも可能です。

地域別の料金相場 ─ あなたのエリアはいくら?

料金設定の第一歩は地域の相場を知ること。以下に主要エリアの実勢価格をまとめました。

東京23区

初乗り運賃
600〜800円(2kmまで)
加算運賃
280mごとに90〜100円
5km利用時の目安
約1,700〜2,300円

東京多摩地区

初乗り運賃
550〜700円(2kmまで)
加算運賃
280mごとに80〜100円
5km利用時の目安
約1,500〜2,100円

大阪市内

初乗り運賃
500〜700円(1.5kmまで)
加算運賃
270mごとに80〜90円
5km利用時の目安
約1,500〜2,000円

名古屋市内

初乗り運賃
500〜650円(1.5kmまで)
加算運賃
280mごとに80〜90円
5km利用時の目安
約1,400〜1,900円

地方中核市

初乗り運賃
500〜600円(1.5kmまで)
加算運賃
300mごとに80円
5km利用時の目安
約1,400〜1,700円

郡部・過疎地域

初乗り運賃
500〜600円(2kmまで)
加算運賃
350mごとに80円
5km利用時の目安
約1,200〜1,500円

基本介助

料金相場
500〜1,000円
サービス内容
手引き・見守りでの乗降サポート

車椅子介助

料金相場
1,000〜1,500円
サービス内容
車椅子のままリフト/スロープで乗降+固定

ストレッチャー介助

料金相場
2,000〜3,500円
サービス内容
寝台のまま搬送。2名体制が必要な場合も

階段介助

料金相場
1,000〜2,000円/1階分
サービス内容
エレベーターなしの建物での昇降

院内付添い

料金相場
1,000〜1,500円/30分
サービス内容
受付・診察室への移動・会計の補助

待機料金

料金相場
500〜1,000円/30分
サービス内容
病院の診察待ち・買い物の待機

相場より安くしすぎない

「安くしてお客さんを増やそう」は介護タクシーではNGです。利用者は価格より「信頼性」「介助の丁寧さ」「予約の取りやすさ」で選びます。相場より大幅に安い料金は、逆に不信感を与えることもあります。地域相場の±10%以内で設定し、サービスの質で差別化しましょう。

損益分岐点を計算してみよう

「1日何件運行すれば黒字になるか」を具体的に計算してみましょう。

車両ローン返済

月額
4万円
計算根拠
180万円の中古車を48回払い

自動車保険

月額
1.8万円
計算根拠
年間22万円÷12

駐車場代

月額
1.5万円
計算根拠
月極駐車場

ガソリン代

月額
5万円
計算根拠
月間2,000km × 燃費8km/L × 200円/L

タクシーメーターリース

月額
0.7万円
計算根拠
月額リース

通信費

月額
0.8万円
計算根拠
業務用スマホ

その他(消耗品・雑費)

月額
1.2万円
計算根拠

固定費合計

月額
15万円/月
計算根拠

1.7件/日

黒字ライン (損益分岐点)

月22営業日換算

3〜5件/日

現実的な目標稼働

生活費を確保するライン

300〜500万

年間所得の目安

経費控除後・個人事業主

損益分岐点の計算

月間固定費15万円 ÷ 1件あたりの平均売上4,000円 = 約38件/月(月22営業日の場合 約1.7件/日)。つまり1日2件以上の運行で黒字ラインに乗ります。実際には生活費(月20〜30万円)も稼ぐ必要があるので、1日3〜5件の運行が目標ラインです。月売上30〜50万円で経費控除後の所得300〜500万円/年が個人事業主の一般的な水準です。

介護タクシー料金設計と損益分岐点の図解
距離制・時間制・定額制に、介助料や機材加算をどう組み合わせるか。

利用者に選ばれる料金設計 5つのコツ

  1. 主要区間の概算料金表を作る ― 「ご自宅→A病院:約2,500円」のように具体的な金額を提示。電話予約時に即答できる準備を
  2. 料金の内訳を明確にする ― 「メーター運賃○○円+車椅子介助1,000円+待機30分500円=合計○○円」と領収書に明記。不透明な請求は不信感のもと
  3. 定期利用の割引プランを設定する ― 週3回の透析通院など定期利用者には月額パック(例:月12回 36,000円)を提案。利用者の負担軽減+安定収益の確保
  4. 初回利用のハードルを下げる ― 「初回お試し運賃500円OFF」など、最初の利用を促すキャンペーンが有効。ケアマネージャーへの営業時にもアピールポイントに
  5. 請求書・領収書を整備する ― 家族への報告や施設の経費精算に使えるよう、明細付きの領収書を毎回発行。信頼度が格段に上がる

ケアマネージャーが求める情報

利用者を紹介してくれるケアマネージャーは「料金がわかりやすいか」「領収書をきちんと出すか」「柔軟に対応してくれるか」を重視します。料金表をA4一枚にまとめたチラシを作り、営業回りで配布しましょう。FAXで受注できる体制も喜ばれます。

運賃認可申請のポイント

運賃は許可取得後に運輸局へ認可申請が必要です。申請のポイントを押さえておきましょう。

  • 運賃表(距離制/時間制/定額の料金テーブル)を作成して提出
  • 介助料金・待機料金は「運送の対価」と別に設定可能
  • 地域の相場から大幅に乖離した料金は認可されない可能性あり
  • 認可後の料金変更は再申請が必要(1〜2ヶ月かかる)
  • 運賃表は車内の見やすい場所に掲示が義務

認可前の営業はNG

事業許可が下りても、運賃認可が完了するまでは営業できません。許可申請と同時進行で運賃認可申請の準備を進めておくと、営業開始までの空白期間を最小化できます。

よくある質問

Q.介護タクシーの料金は自由に設定できますか?+
A.運賃 (走行距離・時間料金) は運輸局が公示する「自動認可運賃」の中から選択するのが基本で、認可申請が必要です。一方、介助料は事業者が自由に設定できます。地域により運賃の幅が異なるため、開業エリアの運輸支局に確認しましょう。
Q.介護タクシーの1日の売上はどれくらいですか?+
A.1日3〜5件・客単価3,000〜5,000円が一般的で、1日の売上は10,000〜25,000円が目安です。週6日稼働なら月売上25〜50万円、月経費15〜25万円を引いた月利10〜25万円が個人事業の標準ライン。透析送迎などの定期予約を確保すると安定します。
Q.距離制と時間制、どちらの料金体系がいいですか?+
A.距離制 (タクシーメーター方式) が主流ですが、長時間の通院待機が多い地域では「介助料を別に時間制で取る」方式が利用者にも事業者にも納得しやすいです。地域の介護タクシー協会の標準を確認するのがおすすめです。
Q.介助料の相場はいくらですか?+
A.基本介助 (乗降介助) で500〜1,500円、院内介助で1,000〜2,500円/30分が一般的な相場です。地域差が大きく、都市部は高め・地方は低めの傾向。開業時は近隣事業者の料金表を3社以上比較して決めましょう。
Q.貸切料金はどう設定すればいいですか?+
A.1時間あたり 3,000〜5,000円が標準。半日 (3〜4時間) で12,000〜18,000円、1日 (8時間) で25,000〜35,000円が相場です。観光や冠婚葬祭での利用が多く、利用者単価が高いため積極的に提案する価値があります。

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