介護タクシーの料金設定ガイド【地域別相場・計算例つき】
利用者に選ばれて、しっかり利益が出る料金の決め方

介護タクシーの3つの料金体系を理解する
介護タクシーの料金は運輸局に届け出た認可運賃に基づきます。3つの料金体系の特徴を理解し、自分の事業に最適なものを選びましょう。
| 料金体系 | 仕組み | メリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 距離制運賃 | 初乗り+走行距離に応じた加算 | 利用者にわかりやすい。短距離利用が多い場合に有利 | 通院メインの事業者(最も一般的) |
| 時間制運賃 | 30分ごとの料金設定 | 待機時間も収益化できる | 病院の待ち時間が長い利用者が多い場合 |
| 定額制運賃 | 特定区間の固定料金 | 事前に料金を伝えやすい | 空港送迎・施設間送迎が多い場合 |
組み合わせもOK
実際には「通常は距離制運賃+待機料金が発生する場合は時間制に切替」「よく使う区間だけ定額料金を設定」といった組み合わせが一般的です。運賃認可申請時に複数の料金体系を併記することも可能です。
地域別の料金相場 ─ あなたのエリアはいくら?
料金設定の第一歩は地域の相場を知ること。以下に主要エリアの実勢価格をまとめました。
| 地域 | 初乗り運賃 | 加算運賃 | 5km利用時の目安 |
|---|---|---|---|
| 東京23区 | 600〜800円(2kmまで) | 280mごとに90〜100円 | 約1,700〜2,300円 |
| 東京多摩地区 | 550〜700円(2kmまで) | 280mごとに80〜100円 | 約1,500〜2,100円 |
| 大阪市内 | 500〜700円(1.5kmまで) | 270mごとに80〜90円 | 約1,500〜2,000円 |
| 名古屋市内 | 500〜650円(1.5kmまで) | 280mごとに80〜90円 | 約1,400〜1,900円 |
| 地方中核市 | 500〜600円(1.5kmまで) | 300mごとに80円 | 約1,400〜1,700円 |
| 郡部・過疎地域 | 500〜600円(2kmまで) | 350mごとに80円 | 約1,200〜1,500円 |
| 介助の種類 | 料金相場 | サービス内容 |
|---|---|---|
| 基本介助 | 500〜1,000円 | 手引き・見守りでの乗降サポート |
| 車椅子介助 | 1,000〜1,500円 | 車椅子のままリフト/スロープで乗降+固定 |
| ストレッチャー介助 | 2,000〜3,500円 | 寝台のまま搬送。2名体制が必要な場合も |
| 階段介助 | 1,000〜2,000円/1階分 | エレベーターなしの建物での昇降 |
| 院内付添い | 1,000〜1,500円/30分 | 受付・診察室への移動・会計の補助 |
| 待機料金 | 500〜1,000円/30分 | 病院の診察待ち・買い物の待機 |
相場より安くしすぎない
「安くしてお客さんを増やそう」は介護タクシーではNGです。利用者は価格より「信頼性」「介助の丁寧さ」「予約の取りやすさ」で選びます。相場より大幅に安い料金は、逆に不信感を与えることもあります。地域相場の±10%以内で設定し、サービスの質で差別化しましょう。
損益分岐点を計算してみよう
「1日何件運行すれば黒字になるか」を具体的に計算してみましょう。
| 項目 | 月額 | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 車両ローン返済 | 4万円 | 180万円の中古車を48回払い |
| 自動車保険 | 1.8万円 | 年間22万円÷12 |
| 駐車場代 | 1.5万円 | 月極駐車場 |
| ガソリン代 | 5万円 | 月間2,000km × 燃費8km/L × 200円/L |
| タクシーメーターリース | 0.7万円 | 月額リース |
| 通信費 | 0.8万円 | 業務用スマホ |
| その他(消耗品・雑費) | 1.2万円 | |
| 固定費合計 | 15万円/月 |
損益分岐点の計算
月間固定費15万円 ÷ 1件あたりの平均売上4,000円 = 約38件/月(月22営業日の場合 約1.7件/日)。つまり1日2件以上の運行で黒字ラインに乗ります。実際には生活費(月20〜30万円)も稼ぐ必要があるので、1日3〜5件の運行が目標ラインです。月売上30〜50万円で経費控除後の所得300〜500万円/年が個人事業主の一般的な水準です。
利用者に選ばれる料金設計 5つのコツ
- 主要区間の概算料金表を作る ― 「ご自宅→A病院:約2,500円」のように具体的な金額を提示。電話予約時に即答できる準備を
- 料金の内訳を明確にする ― 「メーター運賃○○円+車椅子介助1,000円+待機30分500円=合計○○円」と領収書に明記。不透明な請求は不信感のもと
- 定期利用の割引プランを設定する ― 週3回の透析通院など定期利用者には月額パック(例:月12回 36,000円)を提案。利用者の負担軽減+安定収益の確保
- 初回利用のハードルを下げる ― 「初回お試し運賃500円OFF」など、最初の利用を促すキャンペーンが有効。ケアマネージャーへの営業時にもアピールポイントに
- 請求書・領収書を整備する ― 家族への報告や施設の経費精算に使えるよう、明細付きの領収書を毎回発行。信頼度が格段に上がる
ケアマネージャーが求める情報
利用者を紹介してくれるケアマネージャーは「料金がわかりやすいか」「領収書をきちんと出すか」「柔軟に対応してくれるか」を重視します。料金表をA4一枚にまとめたチラシを作り、営業回りで配布しましょう。FAXで受注できる体制も喜ばれます。
運賃認可申請のポイント
運賃は許可取得後に運輸局へ認可申請が必要です。申請のポイントを押さえておきましょう。
- 運賃表(距離制/時間制/定額の料金テーブル)を作成して提出
- 介助料金・待機料金は「運送の対価」と別に設定可能
- 地域の相場から大幅に乖離した料金は認可されない可能性あり
- 認可後の料金変更は再申請が必要(1〜2ヶ月かかる)
- 運賃表は車内の見やすい場所に掲示が義務
認可前の営業はNG
事業許可が下りても、運賃認可が完了するまでは営業できません。許可申請と同時進行で運賃認可申請の準備を進めておくと、営業開始までの空白期間を最小化できます。
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参考リンク・出典
- 一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度(国土交通省)
- 福祉タクシーの現状と課題(国土交通省)